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イギリスのTVドラマ「ダウントン・アビー」の衣装に釘付け

2012年12月30日

私が今年一番はまった「ダウントン・アビー(Downton Abbey)」というイギリスITV制作のドラマのご紹介です。
イギリスのTVドラマ「ダウントン・アビー」の衣装に釘付け

舞台は1910年代のエドワード朝のイギリス。貴族がお城に住み、何十人もの使用人を雇うのが珍しくなかった貴族が貴族らしい生活をしていた最後の時代の住人と使用人の人間模様のドラマです。
イギリスでは2010年から放送され、現在第3シーズン放送中。
一つのシーズンは10話以内、1つのシーズンとしては少なめながら、一つのエピソードに映画並のエネルギーと予算が使われた完成度の高いドラマシリーズで、イギリスのみならずアメリカでもエミー賞やゴールデングローブ賞に数えきれないくらいノミネートされるほど評価の高いドラマです。

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続きます。


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イギリスでは、
使用人の雇い主と家族をUp stair(アップ・ステアー)階上の人々、
使用人をDown stair(ダウン・ステアー)階下の人々(仕事場や使用人の休憩室が一階あるいは地下なので)という呼び方があるそうです。

ドラマでは実際に17世紀に建てられ19世紀に拡張されたHighclere Castleで撮影され、イギリスでも随一の歴史監修者の元、アップステアーとダウンステアーの世界を含め、当時の様子が忠実に再現されています。
家主は専属の使用人(バレット)により用意された服を着て、アイロンされ銀のトレイで運ばれる新聞を読み、家族の夕食といえども正装し、バトラーがワインを注ぎ、外出は専属の運転手(ショーファー)が担当するなど、普段は垣間見ることができない、うっとりするほどの貴族の生活が描かれていております。
(欧米の正式なマナー、例えば女性が先に離席するときは、男性が立ち上がって見送るなどの動作が自然に描かれているので、本気でマナーを覚えたい人には参考になるかも)
対する使用人は、社会保障が無かったうえに、給料はかなり安かったうえに、男女格差もあり、生活は質素で仕事を確保するのに必死。基本は住み込みの共同生活で不便な位置の部屋があてがわれ、普段着も流行遅れ。労働力の安さで上流階級の生活が成り立っていたのがわかります。

イギリスのTVドラマ「ダウントン・アビー」の衣装に釘付け
イギリスのTVドラマ「ダウントン・アビー」の衣装に釘付け

外から見ると単に雇用主と使用人のですが、実際には単なる雇用関係以上に頼っていたようで、ドラマでもそれを垣間みる事が出来ます。

使用人は基本的に住み込みで、休みは週一回。
使用人の序列は、
  バトラー (butler) :(日本語では執事とも言われます。使用人の最上級の役割で、男性使用人のとりまとめ役、そして食器類、ワイン類の管理担当)、
  バレット (Valet):男性使用人で、主に男性主人の世話を担当。
  ハウスキーパー (house keeper):女性使用人のとりまとめ役、食料貯蔵品の管理も
  レディースメイド (ladies maid):女性使用人で、主に女主人の世話を担当
  ヘッドハウスメイド (head maid):女性使用人長
  ハウスメイド (house maid):女性使用人
  ファーストフットマン (first footman):男性使用人長
  フットマン (footman):男性使用人
  ショウウファー(chauffeur):運転手
 (※役割は要約して書いており、他にも様々な役職・役割があります。詳しくは検索してみてね)

そしてここからが重要!
もしこのドラマを見るチャンスがあるなら、是非当時のファッションにも注目していただきたいです。

ドラマは1912年、タイタニック号が沈没した翌日から始まります。エドーワード期で、それまで女性にとって必須だったコルセットは無くなり、ウエストの位置が高めのストレートシルエットに。レース、刺繍、パフスリーブが多用。前あきや後ろのあきは、ボタンが短い間隔で並んでいました。一般的な外出ドレスはネックが高めで、素肌が露わにならないようなスタイルです。
イギリスのTVドラマ「ダウントン・アビー」の衣装に釘付け
夏用の外出着。お帽子は必須アイテム。

イギリスのTVドラマ「ダウントン・アビー」の衣装に釘付け
庭でのパーティー。当時の上流階級のカジュアルウエア


イギリスのTVドラマ「ダウントン・アビー」の衣装に釘付け
シルクシフォン、シルクサテン、刺繍を多用。


イギリスのTVドラマ「ダウントン・アビー」の衣装に釘付け

第2シーズンは1914年以降が舞台。当時開発されたばかりのバーンアウト・ベルベットと呼ばれる、シルクとレーヨンのベルベットを化学薬品で加工し、模様のある部分以外を溶かす製法で作られたファブリックが服に用いられるようになります。右のドレスがそうですね。
(バーンアウトベルベットは今でこそ珍しくありませんが、当時は新素材でした。私はアメリカウェーブで当時のバーンアウトベルベットが使われたドレスを扱ったことがあります。スタイルや質感は今でも覚えていますよ。何より驚きだったのが、その価値を理解されるお客さんが購入されたことでした。日本のビンテージファッションファンは知識が凄いです。)

イブニングドレスに合わせて肘の上まであるグローブを着けていますが、これは肘を露にするのは性的で卑猥とされたためだそう。

末娘のシビルは下がパンツになったジャンプスーツスタイル(当時の名称は不明)のドレスを着て現れます。女性がパンツを穿くことは当時考えられない事でした。
イギリスのTVドラマ「ダウントン・アビー」の衣装に釘付け

ハンティングの様子。
イギリスのTVドラマ「ダウントン・アビー」の衣装に釘付け

男性のハンティングジャケットはツイード素材、もちろん腰に共布(ともぬの)のベルトが縫われています。雨降りの多いイギリスではブーツは必須で、ブーツは膝下までの長さ(これは東洋人には厳しい高さですね・・・)
イギリスのTVドラマ「ダウントン・アビー」の衣装に釘付け
女性用のハンティングの服で、スカートなので馬の上に横座り。

ダウントンアビーの影響か、今シーズンのラルフローレンの広告がそれっぽいです。
イギリスのTVドラマ「ダウントン・アビー」の衣装に釘付け


メイドと男性使用人の服。特にメイドの裾丈と地味さが現代からみると異様に映ります。宗教上と習慣で女性が素肌を露わにしてはならず、そのため頭部以外は覆われてます。このメイドの服は1912年の設定ですが、現代に近づくにつれトーンが明るくなります。
イギリスのTVドラマ「ダウントン・アビー」の衣装に釘付け

調べてみたところ、この写真の男性俳優はみなさん185cm以上でした。でかい!
制作スタッフよると、当時は来客に富と力を印象付けるために、美しく大きな羽をもつ孔雀のように、背が高く見栄えが良い男性を優先して採用していたそうです。

イギリスのTVドラマ「ダウントン・アビー」の衣装に釘付け



ゴスフォードパーク」(2002年の映画でこれまた1930年代のイギリスの大邸宅での話。お勧めです!)でアカデミー脚本賞を授賞したJulian Fellowesがプロデューサーで、しかも全エピソードの脚本を書いており、そのためストーリー展開と会話に無駄が無く、人間描写が緻密。程よい箸休め的なエピソードも挟み込み、ドラマチックに展開します。結ばれない関係、階級を超えた愛などメロドラマな要素も。当然、使用人は盗み聞きし、言葉巧みに女主人を操ったりと、お約束のエピソードもあります。(そのためかドラマは特に女性にファンが多いようです)
さらに、伝統的に演劇が盛んで学校の授業にも演劇があるイギリスの、実力を持った役者達の演技も見物ですよ。
Fellowesさんは上流階級出身で、自分自身が子供時代に使用人を使う側の立場だったようで、その体験もあって、どちらの側のキャラクターも現実味があります。

イギリスのTVドラマ「ダウントン・アビー」の衣装に釘付け

青い眼をより青く澄んで見えるように、また白い肌を不健康ではなく、透明感あるように撮影する、イギリスならではの撮影テクニックにも気づかされます。




1910年当時は前世紀から引き続き、イギリスが世界の経済の中心で、そして地方では小さな地域ごとに貴族である地主が農民を雇い(あるいは農地を農民に貸す)農業経営で栄えていた地代。
貴族は、大邸宅の生活を維持するため、沢山の使用人を雇っていました。それはステイタスであり、また地域の雇用も生み出していたようです。
現在は、たとえ貴族でもこの規模の家を維持するのは困難で、使用人は数えるほどに減り、一般公開して入場料で維持補修費を捻出したり、撮影に貸し出したりしているようです。撮影に使われたHighclere Castleも例外では無く一般公開されています。

日本では数年前からメイドカフェ(どちらかというとロリとエロとファンタジー)がブームですが、このドラマを見ると、それがいかに現実とかけ離れているかが分かりますよ。
日本での放送は「ダウントン・アビー 〜貴族とメイドと相続人〜」というタイトルで、既にスカパー!のスターチャンネルでシーズン2まで放送済みですが、きっと他の局で再放送され、DVD発売されると思います。チャンスがあったら是非ご覧下さい。

このドラマの影響かどうかは不明ですが(そうだと思うが)、今年になって中東の富裕層でイギリスの執事の需要が高まっているとか。
ミシェル・オバマさんも大ファンで、オバマ婦人が今月ドラマの制作者達を話をする機会があって、ドラマの大ファンで第三シーズンが待ちきれないと伝えたら、特別にアメリカ未放送の最新エピソードを入手する事ができたというエピソードがありました。海賊版がホワイトハウスから流出しないことを願います・・・。


ヒデキ
皆さん良いお年を。
(元スタッフ、時々ブログ書いてます)

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追加情報
※NHKで2014年秋よりダウントンアビー第2シーズンを放送予定です。
Amazon Prime で全シーズン公開中(2020/6現在)
映画版は2020年1月に日本公開済。



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Posted by AmericanWave at 12:14│Comments(0)Fashion
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